健康への貢献を踏まえ、断熱の「費用対効果」を分析
住宅産業トピックス 2025.03.11
スマートウェルネス住宅等推進調査委員会(委員長=村上周三・住宅・建築 SDGs推進センター顧問)は2月13日、「住宅の断熱化と居住者の健康への影響に関する全国調査」第9回報告会で、断熱が居住者の健康に及ぼす影響を “費用対効果” の観点から分析した結果を発表した。高断熱化で居住者の健康状況が改善すると、より少ない費用で健康寿命が延び、特に新築時の高断熱化は8割以上の人にとって“費用対効果が高い”との結果が出たという。
断熱等級2の住宅における、朝の室温15℃での生活を基準に、40歳で断熱性の高い家を新築するシナリオと60歳で断熱改修を行うシナリオで、新築、改修のいずれも、断熱等級4・室温18℃、断熱等級6・室温21℃の2パターンを設定してシミュレーションを行った。
新築のシナリオでは、等級4・18℃の場合、生涯費用は基準プラス26万円で、健康寿命は0.31QALY上昇。基準からの増額分の費用対効果は、1QALYあたり84万円となった。等級6・21℃になると、生涯費用プラス84万円でQALYは0.48上昇。費用対効果は177万円/QALYとなった。
一方、改修のシナリオでも医療費は減ったものの、解体を伴うなどの理由で断熱工事費が高くなるため、生涯費用は等級4がプラス226万円、等級6はプラス258万円に。QALYは等級4で0.56、等級6で0.86に伸び、費用対効果は等級4が407万円/QALY、等級6は300万円/QALYとなった。
※QALY:Quality-adjusted life yearsの略で「質調整生存年」と訳される。完全に健康な状態を1、 死亡を0としてQOL(生活の質)を数値化し、生存した年数をかけて計算する
出典 新建ハウジング