住宅取得において「新築住宅にこだわらない」層が増加、中古住宅を視野に入れての家探しが定着しつつある状況が、不動産流通経営協会の「第26回（2021年度）不動産流通業に関する消費者動向調査」で浮き彫りになりました。

　同調査は、首都圏で2020年4月〜2021年3月末までに住宅を購入（引き渡し）した世帯に調査したものです。

　新築住宅を購入した人のうち「新築のみ」を探した人は45.3%（前年比1.1ポイント減）と微減になりましたが、「主に新築」は36.8%（同4.1ポイント増）、「新築・既存にこだわらない」は17.3%（同1.9ポイント減）であり、合計54.1%と昨年に引き続き5割を超えました。

■ 新築住宅購入者（住宅購入にあたって探した住宅）

出典：YKK AP メディアレポート 2022.4月号

　一方、既存住宅を購入した人については「既存のみ」を探した人は24.1%（同0.6ポイント減）、「主に既存」は25.7%（同2.0ポイント減）と、ともに4人に1人。合計49.8%と、過去最高であった前年の52.4%からは減少したとはいえ半数を占めています。また、「新築・既存にはこだわらなかった」は47.0%と同2.7ポイントの増加となりました。

■ 既存住宅購入者（住宅購入にあたって探した住宅）

出典：YKK AP メディアレポート 2022.4月号

　既存住宅を購入した理由は、「手頃な価格だった」、「希望エリアの物件だった」の2項目が69.7%とトップ。続いて「良質な物件であった」が51.0%と同4ポイント増と大きく増加しました。このトップ3は前年と変わらず、価格と立地はもちろん、住宅の質が購入の決め手となっているようです。

　4位以降は「新築にはこだわらない」、「早く入居できるから」、「リフォームするつもりだった」、「いずれ住み替える」の順でした。これらの中で特に注目されるのが「早く入居できるから」で、同7.9ポイントものアップとなりました。

　別の設問でも、「新型コロナが住宅に影響した」との回答が全体の3割に達し、そのうち54%が「当初の予定より購入時期を早くした」と回答していることから、コロナ禍で「早く入居できること」も既存住宅の魅力の一つとして訴求できそうです。

出典：YKK AP メディアレポート 2022.4月号