北陸の住宅メーカーが、中古住宅の販売に力を入れている。バブル期に建てられた住宅の買い替え需要の高まりを背景に、内外装のリフォームや耐震性能の向上を施し、「新築並み」(住宅の営業担当者)の高品質な住まいを提案する。少子高齢化に伴い増加する空き家を優良な中古住宅に生まれ変わらせ、流通を促す動きも出ている。
「マイホームを買うなら新築という考え方は古い。中古住宅の需要はこれから間違いなく伸びる」。北陸ミサワホーム(金沢市)の林諭髙社長はこう話す。
同社の中古住宅販売実績は今年4~7月が8棟で、2018年度の1年間の11棟に迫るペースで推移する。販売価格は1500万~2千万円が相場で、新築と比べて4~5割ほど安い。中古住宅市場の拡大を見据え、将来的には中古住宅の専門部署を設け、住宅鑑定の専門家や耐震診断士の養成を進める方針だ。
20~60代まで幅広い年代から引き合いがある。キッチンやトイレなどの水回りや屋根、壁を数百万円かけて修繕し、顧客の要望に応じたリフォームを施す。
林社長は中古住宅市場に動きが出ている背景として、30年ほど前のバブル期に建てられた住宅の買い替え需要を挙げる。林社長は「傷みの少ない住宅が手に入りやすい。リフォームの技術も高まっており、新築並みの住まいを安価で提供できるのが一番のメリットだ」と話す。
中古住宅の流通を後押しする要因として空き家の増加がある。国は、耐震性があり、建物の状況を調査する「インスペクション」が行われるなどの条件を満たした中古住宅を「安心R住宅」と認めて、品質保証する制度を設けている。「R」には、リユース(再利用)、リフォーム(改装)、リノベーション(改修)の意味が込められ、空き家の有効活用につながっているという。
石川県の住宅関連会社などでつくる石川県木造住宅協会は昨年、安心R住宅の普及促進協議会を発足させ、中古住宅の普及を進めている。
県内では今年度、安心R住宅の認定を受けた中古住宅の販売に本腰を入れる企業が目立つ。宏州建設(金沢市)は同市内に3棟を用意し、売り出す計画だ。不動産仲介の第一地所(同)は既に3棟を販売済みで、今後の上積みを目指すという。
県木住協の山田外志雄会長は「安心R住宅の認定を受けた住宅は売り出せばすぐに買い手がつく」と手応えを語る。一方で、同住宅が顧客に十分認知されていないとし、「顧客に制度を知ってもらえるよう広報を強化したい」と話した。
出典:新建ハウジング