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働きやすい建設工事現場へ具体策とりまとめ 業法改正も視野に

住宅産業トピックス 2018.06.22

 国土交通省は6月22日、中央建設業審議会・社会資本整備審議会産業分科会建設部会基本問題小委員会が「建設産業政策2017+10」の施策具体化に向けて策定した中間とりまとめを公表した。担い手確保の取り組み強化に向けて、「長時間労働の是正」「処遇改善」「生産性向上」「地域建設業の持続性確保」の4つの課題について施策提言をまとめたもの。建設業法などの改正も視野に入れた取り組みの方向性を示した。

 

 「長時間労働の是正」では、同審議会において「工期に関する基準」を作成し、その実施を勧告できる旨の規定を検討すべきとした。また、同基準を前提に、受注者の責務の検討と、注文者に対する一定の措置を設ける必要を指摘した。さらに、働き方改革や生産性向上の観点から、公共発注者による施工時期等の平準化への取り組みを明確化するとともに、平準化の取り組みが遅れている地方公共団体に対して、関係省庁と連携し、より実効性をもって取り組みを促すことができる制度を検討すべきとした。

 

 「処遇改善」では、各技能者の技能・経験にふさわしい給与の実現と、技能者を育成・雇用する専門工事企業が選ばれやすい環境を整備するため、(1)一定の工事において、注文者が請負人に対して一定の技能レベルを指定できる制度、(2)施工体制台帳に記載すべき事項に作業員名簿(当該建設工事に従事する者の氏名)を追加、(3)建設工事を適正に実施するための知識・技能等の向上に努めなければならない旨の規定、について検討すべきとした。

 

 さらに、社会保険加入対策の一層の強化に向けて、社会保険に未加入の建設企業に対する建設業の許可・更新を認めない仕組みの構築や、下請け建設企業が資金調達に関して負担の少ない形で労務費等を適切に支払うことのできる環境を整備するための規範を検討すべきとした。

 

 「生産性向上」については、限られた人材の効率的な活用促進に向けて、主任技術者配置要件合理化のための専門工事共同施工制度(仮称)の創設と、元請け建設企業の技術者配置要件の合理化を検討すべきとした。また、仕事の効率化や手戻りの防止のため、受発注者双方が施工上のリスクに関する事前の情報共有を行うべき旨の規定を検討すべきとした。

 

 建設工事への工場製品の一層の活用に向けて、工場製品に起因して建設生産物に不具合が生じた場合に、工場製品の製造者に対して適切な対応を求めるための制度を検討すべきと指摘。重層下請け構造の改善に向けても、発生要因に応じて様々な施策を総合的に講じていく必要があるとした。

 

 「地域建設業の持続性確保」については、受発注者双方が減少している現状を踏まえ、災害発生時における公共発注者による発注関係事務の円滑な実施と、「災害復旧における入札契約方式の適用ガイドライン」等に記載された取り組みの普及に向けて、災害発生時における公共発注者の責務の明確化について検討すべきとした。また、建設業許可基準における経営業務管理責任者の配置要件の見直しと、円滑な事業承継のための建設業許可における事前審査手続の整備を検討すべきとした。

 

 今後さらに検討すべき事項として、(1)民間発注工事における円滑な工事発注や適正な施工の推進、(2)民法改正への対応、(3)建設産業の経営力の向上、をあげた。

 

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