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「図面作成は営業活動」と設計料の請求を認めず

旧ブログ 2015.01.26

大まかな流れは、

①2003年2月 
  ホテル運営会社から改修増築の設計依頼。
②2006年12月から2007年6月
  打ち合わせを繰り返し、図面・概算工事費を提出。
③2006年6月
  建築基準法大改正前に確認申請を出したいために設計業務を進めた。
④2007年5月
  ホテル運営会社は、「金融機関の決裁を得ていないので、設計業務委託契約を結べないし、建築確認申請の事前手続きもを行うことはできない」
⑤2007年5月
  設計事務所は今までかかった基本設計料を請求
⑥2007年5月
  ホテル運営会社は支払いを拒否
⑦設計事務所が提訴

東京高裁判決

 「建築設計会社が、建築設計業務を受託する可能性のある顧客に対し、その建築希望を聞いて、大まかな予算、規模、工程などの事業方針、設計条件などを検討整理し、図面などを作成して、希望に沿う建築物のプランを提案し、これを建築するよう勧誘することが行われるが、これは建築設計会社の営業活動の1つと考えられる」との見解を示しました。

 また、「営業行為の報酬を求めることはなく、また、建築物の建築にまで至らなかったり、ほかの建築設計会社の提案が受け入れられたりして、建築設計業務委託契約の締結にまで至らなかった場合は、建築設計会社は顧客に対し、営業行為の報酬請求を行わないのが通例」と判断しています。

 裁判所は「契約書がなければ、事情がどうあれ、どれだけ図面を作成しても営業活動」と読める判断を下しています。

 2015年6月に施行される改正建築士法で、延べ面積300m2超の建築物について、契約書の締結が義務化されます。延べ面積300m2未満の建築物は義務化の対象外ですが、ある程度施主とプランについて合意できたら、本格的な設計業務に入る前に設計業務委託契約を締結するようにした方が良さそうです。

 ちなみに設計事務所が請求した金額は、2,000万円だそうです。恐ろしい話でした。